シザーの買取基準は?サビや刃こぼれ、名前の刻印があっても大丈夫?
美容師やトリマーにとって、シザーは自らの技術を支える最も大切なパートナーです。しかし、日々のサロンワークでの使用や、不意の落下などにより、愛用のシザーにサビや刃こぼれ、傷がついてしまうことは避けられません。また、購入時に施した名前の刻印が、いざ手放そうと考えた時にネックになるのではないかと悩む方もいらっしゃるでしょう。 「こんな状態のシザーでも、買い取ってもらえるのだろうか?」「名入れがあると、価値はなくなってしまうのか?」 この記事では、そんな「ワケあり」シザーの買取の可能性について、サビ・刃こぼれ・名入れといったケース別に、買取業者がどのような基準で査定を行うのか、そして、少しでも有利に売却するためのポイントを詳しく解説していきます。
目次
「ワケあり」シザー、買取の可否は業者次第
「サビや刃こぼれがあっても買取可能な店舗と、買い取り不可な店舗がある」のはなぜでしょうか。その違いは、主に業者の専門性と、買い取った後の再販能力にあります。 買取可能な店舗の多くは、シザーの販売や研ぎ・修理を専門に行っている業者や、理美容機器を専門に扱う中古ディーラーです。これらの業者は、シザーの構造や鋼材に関する深い知識を持ち、自社で研磨や修理を行う技術を持っています。そのため、多少のサビや刃こぼれであれば、「修復可能な範囲」と判断し、修理コストを差し引いた上で適正な価格を提示できます。 一方、一般的なリサイクルショップや、専門外の質店など買い取り不可な店舗は、シザーの正確な価値や修理にかかる費用を判断できません。そのため、リスクを避けて買取を断るケースが多くなります。
サビや刃こぼれの状態と買取基準
シザーのダメージとして最も一般的なサビと刃こぼれ。これらがどの程度査定に影響するのかは、その損傷の深さや範囲によって決まります。軽微なものか、それとも深刻なダメージかで、買取の可否や査定額は大きく変わってきます。
軽微なら買取可能こともある
結論から言うと、軽微なサビや刃こぼれであれば、多くの場合で買取は可能です。 「軽微なサビ」とは、表面にわずかに付着している程度のもので、専門家による研磨作業で完全に取り除くことができる状態を指します。鋼材の内部まで侵食していなければ、シザーの性能を損なうことなく修復できるため、買取対象となります。 同様に、「軽微な刃こぼれ」とは、数ミリ程度の非常に小さな欠けや、刃線のわずかな歪みなどを指します。これも、プロの研ぎ師であれば、刃の形状を大きく変えることなく修正が可能です。 ただし、これらの修復には専門的な技術とコストがかかるため、その分の費用が査定額から差し引かれることは理解しておく必要があります。ダメージが少ないほど、減額幅も小さくなります。
買い取る場合は素材として買取をしている
一方で、サビが鋼材の深くまで侵食している、あるいは刃が大きく欠けてしまっているなど、深刻なダメージを負ったシザーの場合、道具としての再利用は困難と判断されることがほとんどです。このようなシザーは、一般的な買取店では値段がつかないか、買取を断られてしまいます。 しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。一部の歯科金属や工業金属も扱う業者、あるいは一部のシザー専門店では、ハサミとしてではなく、「金属素材」としての価値で買い取ってくれる場合があります。特に、コバルト合金や特殊なステンレス鋼といった高品質な素材で作られたシザーは、素材そのものに価値があるためです。この場合、買取価格は中古シザーとしての価格ではなく、金属スクラップとしての相場が基準となるため、高額にはなりませんが、処分費用を払うよりはるかに有益です。
名入れ(名前の刻印)があるシザーの買取について
自分の大切な道具である証として、また他のスタッフの物と区別するために、シザーに名前やイニシャルを刻印している方は少なくありません。このパーソナルな印は、売却の際にどのように影響するのでしょうか。
名入れは減額対象だが、買取は可能な場合が多い
結論として、名前の刻印は査定においてマイナスポイントとなり、減額の対象となることがほとんどです。次にそのシザーを使う人にとって、他人の名前が入っていることは好ましくなく、再販する際の大きな障壁となるためです。業者側で刻印を消すための研磨作業が必要となり、その分のコストが査定額から差し引かれることになります。 しかし、名入れがあるからといって、買取が不可能になるケースは稀です。特に、後述するような人気ブランドのシザーであれば、名入れによる減額分を差し引いても、十分に買取価格がつくことがほとんどです。査定に出すのを諦める前に、まずはそのシザーが持つ本来の価値を専門業者に見てもらうことが重要です。
ブランドと状態が価値を上回るケース
名入れというデメリットを上回るほどのプラス要素があれば、十分に高価買取は期待できます。その最も大きな要素が、シザーのブランドと、刃や本体の状態です。 ナルトシザーやミズタニシザー、光シザーといった、職人が手作業で作り上げるような高級ブランドのシザーは、中古市場でも非常に人気が高く、需要が安定しています。これらのブランドの製品であれば、たとえ名入れがあったとしても、基本的な性能やブランド価値が高く評価され、しっかりとした買取価格が提示されます。また、名入れがあっても、刃こぼれやサビがなく、全体のコンディションが良好であれば、その分査定額は高くなります。名入れは一つのマイナス要素に過ぎず、シザー全体の価値がそれを上回れば、納得のいく取引は十分に可能です。
ワケありシザーを売るための賢いステップ
サビや刃こぼれ、名入れといった「ワケあり」のシザーを、少しでも有利に、そしてスムーズに売却するためには、いくつかのステップを踏むことが効果的です。
まずは正直に状態を伝える!持ち込み前に問い合わせがおすすめ
ワケありシザーを売却する際に最も重要なのは、店舗に持ち込む前に、電話やメール、ウェブサイトの査定フォームなどを利用して事前に問い合わせることです。その際には、ブランド名、型番、使用年数といった基本情報と共に、「刃先に2ミリ程度の刃こぼれがある」「ハンドルの部分にサビが出ている」「持ち手部分に名前の刻印がある」といった、シザーの状態を正直かつ具体的に伝えることが大切です。可能であれば、スマートフォンのカメラでダメージ部分や刻印の写真を撮影し、メールなどに添付して送ると、業者側もより正確な初期判断ができます。 この事前問い合わせを行うことで、そもそもその業者がワケあり品を買い取ってくれるのか、また、おおよその査定額の目安を知ることができます。時間と手間をかけて店舗に持ち込んだのに、その場で買取を断られてしまうという事態を避けるためにも、この一手間を惜しまないようにしましょう。
複数の専門業者に相談する
一つの業者に問い合わせて買取を断られたり、提示された査定額に納得がいかなかったりした場合でも、すぐに諦める必要はありません。必ず複数の業者、特にシザーの買取を専門的に行っている業者に相談してみましょう。 業者によって、得意とするブランドや、修復・研磨技術のレベル、そして再販先のルートなどが異なります。そのため、ある業者では価値がないと判断されたシザーでも、別の業者では修復して再販できると判断されたり、あるいは素材としての価値を評価してくれたりする可能性があります。複数の専門業者に同じ条件で査定を依頼し、その査定額や対応を比較検討することで、あなたのワケありシザーの価値を最も高く評価してくれる業者を見つけ出すことができるはずです。
まとめ
美容師やトリマーにとって、日々の仕事を支えてくれた大切なシザー。たとえサビや刃こぼれ、名前の刻印といった「ワケ」があったとしても、その価値がゼロになってしまうわけではありません。 重要なのは、その状態を正直に受け止め、適切な業者を選ぶことです。軽微なダメージであれば、多くの専門業者が修理・研磨を前提に買い取ってくれます。深刻なダメージでも、素材としての価値が認められる可能性があります。また、名入れは減額対象にはなりますが、人気ブランドのシザーであれば、十分に買取価格がつくことがほとんどです。 ワケありシザーを手放す際は、まず複数の専門業者に写真などを添えて事前に問い合わせ、買取の可否やおおよその査定額を確認することから始めましょう。諦めて処分してしまう前に、そのシザーに秘められた最後の価値を見出してくれる専門家に相談してみてはいかがでしょうか。