K18YG(750)のマラカイトブレスレットにおける石留めと爪足しの修理実績をご紹介します。今回のご相談は、マラカイトが1ピース脱落し、同位置の爪が欠けて保持力を失っていたケースです。まずは全コマの爪高さと座面の摩耗を点検し、変形の有無、ロー付け痕、歪み、裏抜きのバリの残存を確認した上で、欠落部位の寸法計測と色味の基準づくりから着手しました。

【修理前の診断と方針】
当店では、天然石の特性に合わせた下準備を重視しています。マラカイトは層状の縞模様が魅力ですが、硬度が低く、圧痕や衝撃に弱いデリケートな石です。そのため、爪足しのロー付けは母材への熱影響が最小になるよう、熱遮断材で周囲を保護しながら行い、座金の面出しは研磨熱を抑えつつ段差を整える工程設計としました。加えて、既存ピースの色味に近づけるため、濃淡の幅、縞の太さ、方向性を目視と拡大鏡で照合し、置き換え候補のストーンを厳選しています。

↓ご依頼時の状態↓

↓修理完了↓

【製作と石合わせ】
紛失したマラカイトは、たまた当店にて在庫のご用意ができましたので、既存サイズに合わせて成形・研磨を行いました。面取り角は既存ストーンのエッジ感に合わせ、座面はわずかに弧を持たせて密着度を高める設計としています。表情の要となる縞は、連続性が視覚的に途切れないよう留め位置の向きを微調整し、全体として違和感のない統一感を意識しました。石のご用意は出来かねる場合がありますので予めご了承ください。

【爪足しと石留めの工程】
欠損した爪はK18YGで新規に足し、根元の地金厚を確保してから先端をテーパー状に成形します。ロー付け後は酸洗いでスケールを除去し、座金の平面度を再調整。石合わせ後、均等圧で順番に締めることで、特定の爪にストレスが集中しないよう配慮しました。最終の締めは過圧を避け、石の遊びが出ない最小限の保持力に設定し、顕微鏡下で爪先の返しと面取りを確認しています。

【仕上げと光沢管理】
最終研磨は爪先のエッジを活かしつつ、引っ掛かりを抑えるバフ掛けで整えました。鏡面の映り込みが強すぎると爪のエッジが甘く見えるため、地金の肌を微妙にコントロールし、ジュエリーとしての艶と実用品としての耐久性を両立しています。なお、マラカイトは超音波洗浄や強アルカリ洗浄に不向きなため、仕上げ後のクリーニングは物理的なダメージと化学的影響を避ける方法を採用しました。

【K18YGマラカイトブレスレットの豆知識】
マラカイトは緑の炭酸塩鉱物で、条痕と層状の縞が個体ごとの個性を生みます。硬度は比較的低く、酸や湿気、急激な温度変化に弱いため、汗や化粧品、温水環境との長時間接触は避けるのが賢明です。保管は乾燥した場所で、他の硬い宝石と接触しないよう個別に収納するのが理想です。日常のお手入れは柔らかい乾拭きが基本で、水洗いが必要な場合も短時間に留め、拭き上げを徹底してください。

【再発防止のポイント】
石留めの緩みは微細な衝撃の蓄積で進行します。着脱はテーブルの上など落下リスクの少ない場所で行い、装着中は強い磁力や金属エッジと擦れる環境を避けるのが安心です。万一カタつきや異音、爪の引っ掛かりを感じたら、早めに点検へ。小さな整形で済むうちに調整することで、石の脱落や大規模なロー付けを未然に防げます。

【納品後のチェック】
当店では、石座の密着、爪の返し、隣接パーツとの可動干渉、手首での装着バランスを複合的に検査します。見た目の美しさだけでなく、使用時の安心感を重視し、留め強度と負荷分散のバランスを最適化しています。修理痕は極力目立たない仕上げを心がけていますが、耐久性を優先する部位では最小限の肉厚を残し、長く使える実用性を担保します。

【ご相談とお見積り】
石の紛失や爪の欠損、色合わせのご希望など、症状に応じて最適な工程をご提案いたします。写真では判断しにくいケースもありますので、実物拝見の上で精密にご案内いたします。お手持ちの商品のお見積りは以下のフォームからお申し込みください。24時間以内にご返信致します。

【最後に】
今回のK18YGマラカイトブレスレットは、色合わせと保持力の両立に注力し、日常使いに耐える強度で仕上げました。修理を機に全体の点検とクリーニングを行うことで、美観と耐久性が同時に向上します。石留めや爪の状態に不安がある場合は、早めの点検が結果的に仕上がりの美しさとコストの最適化につながります。どうぞ安心してご相談ください。

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