今回は工房で行ったK18WGアウイナイト0.07ct×ダイヤ0.35ctペンダントトップの新品仕上げをご紹介します。ご相談内容は、ホワイトゴールドのロジウム層が摩耗して全体に黄味が出てきたため、輝きを取り戻したいというものです。アウイナイトは色の美しさが命であり、熱や薬剤、超音波に敏感なため、石外しや通常の再メッキにはリスクが伴います。そこで当工房では石を外さない前提で、宝石に負担をかけない安全域までのクリーニングと手作業による鏡面仕上げを選択しました。作業は顕微鏡下で爪と石を徹底マスキングし、地金面のみを段階的に整える工程で進めています。

【施工の方針と評価基準】
まず現状観察では、ロジウム摩耗による色ムラと、日常使用で付いた微細な擦り傷を確認しました。石座の変形や緩みは見られず、爪の保持力は適正でした。評価基準は、①宝石への熱・薬剤ストレスゼロ、②地金の光沢回復、③エッジのシャープさ維持、④全体の色味バランスの改善、の4点です。今回は再メッキではなく、鏡面研磨中心の“安全仕上げ”で①〜④を満たすことを目標に設定しました。

↓加工前の状態↓

ホワイトゴールドのメッキが剥がれて全体的に黄色くなっていました。

↓修理完了↓

【実施工程の詳細】
脱脂クリーニングで皮脂と汚れを除去後、アウイナイトと周囲のダイヤを保護する専用マスキングを施工しました。次に、K18WGの地金面を微粒度コンパウンドで段階研磨し、深い線傷は磨き過ぎを避けるため面で均しながら整えています。熱の蓄積を防ぐため、研磨時間は短時間サイクルを反復し、工程ごとにスチームで研磨粉を除去して状態を再確認。最終はバフ研磨で鏡面を引き出し、石座との境界に段差や滲みが出ないようエッジを保ちつつ光沢を回復させました。

【仕上がりのポイント】
仕上げ後は、トップ全体の反射が均一になり、黄味の印象が大きく軽減しました。アウイナイト固有の鮮やかなブルーが背景の白味に引き立てられ、ダイヤ0.35ctのメレもラインで整然と輝きます。石に影響はなく、爪の保持力・石座の整合も良好です。深い打痕は素材を守る観点から残しの判断とし、装着時に目立たないレベルへ抑えています。

【再メッキを行わなかった理由】
ロジウム再メッキは短時間で白味を強く回復できる反面、石外しや強い前処理が必要になるケースがあります。アウイナイトは熱や化学的刺激に敏感で、色調や表面状態へのリスクが増すため、今回は長期使用を見越した“石に触れない復元”を優先しました。結果として、日常視認距離での美観向上と宝石保全の双方を両立しています。

【ご依頼前チェックリスト】
・石座やチェーン取り付け部に変形がないか。
・爪の浮き、引っかかりがないか。
・汗やコスメ由来のくすみが目立つか。
・再メッキの必要性より、まず安全な研磨で回復可能か。
当工房では、顕微鏡下の無料点検で最適工程をご提案します。

【メンテナンスと保管のコツ】
使用後は柔らかいクロスで乾拭きし、運動・入浴・サウナ前は外してください。アクセサリー同士の接触傷を避けるため個別ポーチ保管が安心です。香水やヘアスプレーは装着前に済ませ、付着した場合はすぐに拭き取りましょう。定期メンテナンスは使用頻度により6〜12カ月を目安にご相談ください。

【K18WGアウイナイトペンダントトップにまつわるFAQ】
Ｑ．石を外さずに仕上げても十分に綺麗になりますか。
Ａ．石への負担を避けつつ、地金の光沢と全体の白味を戻す“安全仕上げ”で大きな体感改善が見込めます。再メッキが必要かは現物の摩耗度と構造で判断し、最適解をご提案します。

【納期と目安のご案内】
納期は状態と構造により変動しますが、軽度の摩耗なら数日単位、複雑形状や面修正が必要な場合は前後します。石外しを伴わない工程は、宝石保全を最優先に慎重に進めるため、事前点検の上でスケジュールをご提示いたします。

【ご相談・お見積り】
お手持ちの商品のお見積りは以下のフォームからお申し込みください。写真と気になる症状を添えていただくと、初期診断がスムーズです。送付・お持ち込みの可否や、仕上げ後のメンテ頻度についても併せてご案内します。

【まとめ】
K18WGの白い輝きとアウイナイトのブルーは、適切な工程を選べば石に触れずとも十分に甦ります。大切なペンダントトップを長く楽しむために、状態に合わせた“無理をしない復元”をご検討ください。安全・美観・耐久性のバランスを取り、最適な仕上げプランをご用意いたします。

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